『地方議会』考。

ミーティングただ今、統一地方選のど真ん中。
前半戦が終わりまして、今から後半戦が始まります。
ということで、地方議会について思うことを少し書きます。

おとといの宮崎県議会選挙は、過去最低の投票率で50%を割り込みました。
名古屋の河村市長と市議会の対立、鹿児島県阿久根市の前市長と市議会の対立などが最近でも話題となりましたし、私の地元の日南市においては、議員定数削減を目指す自治会連合会が条例制定の本請求を行うなど、地方議会そのもの存在意義が問われていると思います。

河村市長や阿久根の前市長は、議会を悪役に仕立て、それについて市民も一定の支持をしていたわけで、日南市においても「地方議会の仕事が見えない」「議員はあんなにたくさんいるのか?」などの声の結果だと思います。
また、執行部(行政)側の事前の根回しにより、ほぼ全ての議案が可決され、議会による条例制定なども少ないといった現状があります。

大阪の橋下知事や名古屋の河村市長は、それとは全く逆で、自分の政策を反対してしまう議会について、地域政党(首長与党)を立ち上げて、政策を実現するために議会の過半数を取ってしまおうとしています。

確かに、選挙という過程を通して民意を反映していますし、議会の反対がなくなれば首長がやろうとすることがスムーズに進めていけるわけで、とてもいいように思えます。

・・・しかし、これでいいのでしょうか。

執行部側が事前に根回ししてしまう議会も、首長与党で占められている議会も、結果は同じで、執行部側がやろうとしていることがなんでも通ってしまいます。
特に名古屋について言いたいのですが、なんだか新しいことが生まれそうな感じもしますが、首長与党がすぐに賛成してしまう議会は、議員の仕事が見えない・何でも可決してしまう旧来型の議会と結果は同じになるわけです。

最近、たまーにさせていただく講演や、このブログでも書いてますとおり、私は、日本復活のキーワードは地方分権・地域主権だと思っています。
地域のことは地域で決めるというプロセスを積み上げることで、強くて自立した地域住民(国民)が生まれ、その集合体であるこの国家が強くなるのだと思っています。

そして、その象徴となる場所が地方議会であるはずなのです。

地方議会は、住民の代わりに行政と議論を行う場所です。
それが地域政党という名の首長与党が、深い議論もなく全部可決してしまったら、旧来型の根回し等により何でも賛成で、住民の信を失っている古い地方議会と何ら変わりはありません。
結果が同じになるのです。

地方分権が叫ばれて久しい昨今ですが、少なくとも私は「アメリカみたいな連邦制にせよ」とか言ってるわけではありません。
基本的には、今の地方自治制度のままで良いと思っています。
(とは言え、ひも付き補助金の撤廃や義務付け枠付けの廃止はもちろんやるべきで、加えて税率の自由も地方に渡すべき、というのはあります。)

地方自治の枠組みは今のままで全然大丈夫なので、地方議会において、きちんとした実のある議論が行われるということが大切なのだと言いたいのです。

「地域のことは地域で決める」というプロセスを可視化できる場所が、「地方議会」なのです。

そんなことを思いながら今回の統一地方選を見ています。
なかなか仕事が最近忙しくて、名古屋についても細かくは見れていないので、ちょっとずれてしまっているかもしれませんが、私には名古屋の今の状況は非常に危うく見えます。
(ただ、河村市長が支持を受けている事実もあるわけなので、既存勢力には何かが足りない現実も一方ではあります。)

本当の意味で真に自立した地域を創り上げ、強い日本を作るには、地方議会こそがカギを握ると私は思っています。

3 thoughts on “『地方議会』考。”

  1. 「写真関係ないやん」と思いましたが、ホワイトボードの中身が関係あったんですね。失礼しました(笑)
    地方分権は必要ですが、国の形(道州制や連邦制)は何でもよく、何層制でもいいのでは(補完性の原則を前提としてですが。)と最近考えてます。
    結局は「住民が身近なところで身近なことを決めていける」ことが大事なのではと思います。そこから政治・行政への関心も大きくなるのでは。

  2. コメント失礼します!お久しぶりです~
    私も名古屋や阿久根の様子を見て、「議会」というものの意味を再度考えるべき時なんじゃないかなと思いました。
    民主主義の下では議会の存在は必要不可欠ですし、それが無い状態を「自治体」とは言えないと思います。
    しかしこうして議会が何をしているのか市民にクリアに伝わらず、事前調整型の運用スタイルを取り続ける限り、その必要性があるのか疑問に思われてしまうのは仕方のないことです。
    国による地方自治法の抜本的な改革も検討されていますが、「地域のことは地域で決める」ための議会であるためには独自の議会基本条例を積極的に制定していくなど、内発的な改革も必要だと思います。
    う~ん、むずかしいですね。。

  3. >くるみちゃん
    コメントありがとう!
    確かに基本条例も、生まれ変わるためのスタートラインに着くためには最低限必要かもね。
    今日のブログに今から書こうと思ったことだけど、特に市議会は地元の陳情の場所になったりする。
    それだけなら自治会長さんがやればいいこと。よっぽど地域にまんべんなく密着している自治会長さんのほうが的確にできます。
    市議会は、その一つ上の次元で、市民にとっても必要だと思ってもらえる議論は一つ一つ積み上げなきゃ信頼は勝ち得ないよね。
    そういう意識を持つための基本条例は確かに有効。
    但し、先進地の地方議会の基本条例をまねて同じように制定しただけで、改革したようなポーズをとる議会もあるので要注意ね。(苦笑)
    >三浦
    写真は、ほぼ関連ないな、、、と思ってアップしたけど、三浦のおかげで関連付けられました。ありがと。(笑)

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