「活動日記」カテゴリーアーカイブ

北欧研修⑥ ~国民の生活

北欧の街角①(←北欧の街角。)

スウェーデンでは、通訳及び訪問先のコーディネートをしてくださった方のご尽力により、素晴らしい研修とすることができました。

その方は、スウェーデン人とご結婚され、向こうに移住された日本人女性の方です。

スウェーデンで子育てもされているその方に、現地での生活について、いくつか質問させていただきました。
その内容を箇条書きで書きたいと思います。
(研修期間中、スウェーデンで通訳をしてくださった方は、コーディネートをしてくださったその方を含めて合計3名でした。そのうち2人が日本人妻の方。以下は、そのお二人からの聞き取り結果です。)

北欧の街角②《育児・出産》
スウェーデンのほとんどの家庭が共働きで、子供が1歳になると保育所に預ける。
スウェーデンでは、夫も育児休暇を30日以上取らなければならない。その場合は、80%の所得補償がある。(但し、補償金額に上限がある。)
出産費用は、検診時からいっさい無料。地域の保健所のようなところで助産婦による定期検診を受け、出産のときのみ、施設の整った病院に行く。
(スウェーデンで出産された通訳さんのお一方は、「子供を産んだ日に、病院から「退院するか?」と聞かれて、それはさすがに無理だと伝え、もう一日入院させてもらった」というお話をされました。本当に出産する僅かの間しか病院にはいることができないとのこと。つまり、至れり尽くせりの日本の産婦人科とは、かなり違うようです。)

《教育》
教育費は大学院まで無料。博士課程になると手当がもらえる。
・18歳になるまで児童手当が支給される。一人目が1,050クローネ、二人目が2,300クローネ、三人目が4,000クローネ。
(1クローネ・・約15円)

《医療》
医療費は無料ではない。感覚として、むしろ高いと思う。
・1回の診療につき、200クローネかかる。(大学病院だと300クローネ。)
・風邪であろうが、心臓手術であろうが、病気の軽重に関わらず、一度の診療にかかる費用は200クローネである。
・一つの病気に対し、何回診療を受けても最高で1,200クローネまでで、その後それ以上費用がかかることはない。
・普通診療の場合、3ヶ月先まで待たねばならぬ事もしばしば。救急窓口であっても、血が出ていない限りは、4~5時間は待たされる。
・スウェーデンの病院は、基本的に公立。私立病院も僅かであるが存在し、そこではすぐに診療してもらえる。但し、1回につき500クローネほどかかる。
18歳未満の子供の医療費は、救急病院での処置を除いては無料。
・歯の治療費は高い。1回の治療につき、500~600クローネ。

《消費税》
・消費税が25%ということで高税率ではあるが、表示金額に税金分が含まれているため、普段、買い物をする中で、税金が高いということを感じない。(分からない。)

《住居》
住居費は高い。例えば、一戸建ての家を買うとしたら、3,000万円の購入資金に加え、更に家賃として毎月10万円ずつ(光熱費込み)支払っていくようなシステムになっている。スウェーデンにおいて、「家を買う」というのは、簡単なことではない。

北欧の街角③北欧の街角④

《国民生活》
・物価は高い。(ex. 500mlペットボトルのジュースが、300~400円くらい。)
・国民の生活は、非常に質素である。
貯金をする国民ではない。(貯金をするだけの余裕がないというのもある。)税金として、国に貯金している感覚。「国がお財布」のイメージ。
外国人に対して、非常に寛容な国である。例えば、外国人がスウェーデンの学校に通えるチャンスは数多く設けてあり、また、人種差別をしたとなると厳しく罰せられる。なので、移住してくる外国人が多く、混血の子供も多くいる。スウェーデン国内でよく言われる冗談に、「あと100年もすれば、純粋なスウェーデン人はいなくなる」というのがある。
・出生率は高いが、これは移住してきた外国人が引き上げている。
・一部の銀行などで、「財政危機が起こる可能性がある」と言って、個人年金などの老後の商品を販売しているところもある。

いかがでしょうか?
スウェーデンでの生活が、少し垣間見えましたかね。
今日はここまでです。

明けました。

明けましておめでとうございます。
旧年中は、大変お世話になりました。
本年も、このブログと崎田恭平をよろしくお願いいたします。

今年も新年の抱負から入りたいところですが、当面のヤマである17日(土)の「北欧研修報告会」を終えてから、改めて書きたいと思います。

ちなみに、昨年の抱負は、『原点に帰る』でした。
(2008年1月1日ブログ 「今年の抱負。」)
『原点』とは、学生時代に取り組んでいた「児童養護」のことと、我が地元である「日南」のことでした。

一つ目の「児童養護」については、1月から始めた週1回の家庭教師を継続することができましたし、前回のブログに書きましたとおり、「カリタスの園」においてもクリスマス会まで展開することができました。
二つ目の「日南」については、日南市青年団の藤沢さんや山下さん達のお力により、いろいろな活動に参加することができ、前進しましたが、まだまだのところがあります。
(「日南」については、数年のうちに移住も視野に入れようと思うところです。)

今年の抱負は、また後日。

さて、今日の本題に入ります。
今回は告知をさせていただきます。
上にもチラリと書いていますが、「北欧研修報告会」についてです。
「みやざきみらいフォーラム」のような形式で、「Mfnet(県内若手公務員自主勉強会)」の中で研修成果報告会を行います。
「Mfnet勉強会」は、これまで基本的に公務員を対象としてきましたが、今回は一般開放することとしました。
発表者は私だけでなく、ドイツなどで研修を行った清武町職員と、昨年度、東京の民間企業で1年間研修を行った県庁職員、そして私の計3人です。

これまでのブログで書いているとおり、北欧で学んできた「地方分権」と「高負担高保障国家」について話をさせていただきます。
なんだか取っ付きにくそうな2つのワードですが、決して難しいことではなくて、北欧で感じた「住民が自分たちのことを自分たちで責任持って決めていく」という本来ならば当たり前であるはずの「地方分権」の姿について自分の言葉で話せたらと思っています。

・・・これまでに何度か、このような人前での発表をしたことがありますが、その度に「伝えること」の難しさを実感し、いつも反省と後悔が頭に残ります・・・。(苦笑)
今回も多分拙い話で大変恐縮なのですが、うまくなるには何事も経験ということで、貴重な機会と前向きに捉え、精一杯やらせていただきます。

第13回Mfnet勉強会 ~「研修報告会」
 【日時】 1月17日(土)
       受付 13:30~
       報告会 14:00~
 【場所】 宮崎市民プラザ 4階 和室
 【参加費】 無料
 ※ 報告会終了後17:30より、懇親会を予定しています。
   (会費:3,000円程度の予定)

ご都合のつく方は、是非お越しください。
(参加される方は、何らかの形で私まで御連絡くださいますと幸いです。私の連絡先が分からない方は、このブログのコメントにその旨を書いていただければ大丈夫です。)

子供たちとのクリスマス。

ここずっと北欧研修のことを固い感じで書き続けていますが、今回は久しぶりに最近の出来事(やわらかい話)について書きたいと思います。

さくら学園H20①12月23日(祝)は、宮崎市内にある児童養護施設「さくら学園」と「カリタスの園 竹の寮」で開催されたクリスマス会に行ってきました。

私が、「さくら学園」のクリスマス会に参加するのは今年で4回目になります。
例年、県庁内の電子掲示板上で職員にカンパを募り、そのお金でプレゼントを買い、子供たちに手渡しています。
もう10年以上、県庁職員の先輩方有志数名が毎年訪問していまして、その伝統を引き継いで、私が昨年から全体の取りまとめ役をしています。

そして、今年から初めて、私が家庭教師ボランティアとして週1回通っている「カリタスの園 竹の寮」のクリスマス会にも行くことになりました。
きっかけは、約1年前の1月から私がカリタスに通うようになりまして、先日、施設側からクリスマス会のお誘いを受けたことでした。
一緒にさくら学園クリスマス会訪問を行っている県庁の先輩方に、カリタスも増やしてよいか相談したところ、快く提案に乗ってくださいまして、2つの施設訪問が今回実現しました。

まず、事前準備として、20日(土)に、150人近い子供たちのプレゼントを買いに街に出かけました。
幼児さんから18歳までの子供たちがいて、好みも違うだろうということで、施設に学年ごとに何人の子供がいるのか教えてもらい、それを基に年代別、男女別にプレゼントを選びます。
これが一仕事でして、10人がかりで行い、4時間以上かかりました。
(それから、領収書の整理やプレゼントの仕分け作業などを幹事役3人が残ってやりまして、プレゼント買い出しスタート時間が午前10時で、結局、この日の作業を終えたのが夕方6時でした。(苦笑))

そんなこんなで事前準備を終えまして、いよいよ本番の23日。
午前中は、「さくら学園」に行きました。
毎年、さくら学園のクリスマス会では、ステージで、幼児さん、小学生、中学生、高校生がそれぞれ歌やダンス、劇などの出し物を披露してくれます。

そして、最後に、県庁ボランティアグループの出番。
まずは、子供たちが一番楽しみにしてくれている「サックス演奏」です。
上の写真が、その様子であります。
今年は、「崖の上のポニョ」で盛り上がりました。
「ポニョ」に合わせて、ダンサブルに踊るサンタが子供に受けました。(笑)

その後、ビンゴゲームやジャンケンゲームをして、当たった子にプレゼントを渡し、最後に全員にプレゼントを渡して、「さくら学園」クリスマス会は終了。

午後は、「カリタスの園 竹の寮」へ。
スタートには間に合わなかったのですが、子供と施設の先生によるバンド演奏などがあり、茶話会がありました。
私が勉強を教えている中2の男の子が、我々のテーブルに来てくれ、楽しく盛り上がりました!

そして、サンタによる子供たちの部屋への訪問。
みんな目をキラキラさせて待っていてくれまして、本当に楽しく優しい気持ちになれた時間でした.。゚+.(・∀・)゚+.゚

さくら学園H20②

左の写真は、今回一緒に取りまとめ役を手伝ってくれた入庁2年目の後輩たちです。
彼ら彼女らには、「まつりえれこっちゃみやざき」から、地域活性化塾どんげネット、Mfnet(宮崎県内若手行政マン自主勉強会)などなど、いろんな場面で世話になりっぱなしです。

面と向かうと、いつもいじってばかりですが、ホントはもちろん感謝しております。
ネット上ですが、ありがとう。
来年以降も突っ走っていきますので、どうか私を見捨てず(笑)、一緒に突っ走ってくれることを祈っております。
お疲れさまでした。

北欧研修⑤ ~スウェーデンの経営者と

スウェーデン企業③続いて訪れたのは、企業です。
メイクウェーブ株式会社というIT企業の代表取締役社長兼経営最高責任者(President&CEO)とお話させていただきました。

企業では、今回の研修テーマ②について調査を行いました。
 ②「高負担高福祉国家の実情について」

以下に、Q&Aでまとめます。

Q.経営者として税金が高いと感じているか?
A.法人税は、スウェーデンは28%で、日本は40%であり、よっぽど日本の方が高い。そんなに重税感は無い。

Q.スウェーデンは、消費税が25%ということで、個人に対する課税が多いため、国内であまりモノが売れないということはないのか?
A.スウェーデンは、人口が約900万人という小国であるので、そもそも海外に輸出していかないと産業として成り立たない。
確かに多くの企業が海外へ進出しているが、それは国内の税金が高いからということでは全くない。

Q.社会保障がしっかりしているため、労働意欲が低くなるという問題はないのか?
A.自分の会社では、そういうことは起きていない。IT分野に携わっている人間は、そもそも勉強しているし、モチベーションが高い。
しかし、肉体労働者などは失業保険をもらいがちになる場合もあるようだ。
ただ、次の仕事を早く見つけないと損をするような仕組みになっているので、大きな問題とはなっていない。

Q.自国(スウェーデン)の経済政策について、どう考えているか?
A.政府と24時間、オンラインで繋がることができ、会社設立の手続きなどが簡単にできる。また、その他にも資金援助や海外へ出て行くための支援などが充実している。
このように、国として企業を育てるという視点があり、他の国と比べても良い政策であると思う。
スウェーデン企業②経営者として感じる、自国の政策のデメリットは、労働法が非常に厳しいことだ。
経営状況に合わせて、雇用を調整することができない。

また、プロフェッショナルな技術を持つ労働者を雇用するときにかかる税金が非常に高い。

Q.スウェーデンには、「格差社会」があるか?
A.5~10年ほど前から、多少は格差が生まれてはいるが、他国のような状況では全くない。
子育てにかかる経費や教育費、医療費は、全くかからないか、少額で済むので、最低賃金でも家庭を持ち、生活していける。

Q.政府や自治体に対する信頼はあるか?
スウェーデン企業①A.一国民としては信頼している。しかし、経営者としては信頼していない。
つまり、社会保障がしっかりしていることや、労働法が厳しいため労働者の権利がきちんと守られているなど、一国民としては非常に安心できるが、経営者としては、別の政策もあり得ると思う。

今回の経営者とのやり取りの中で注目すべきことは、「労働法が厳しく、経営状況に合わせて雇用を調整することができない」という発言です。
日本が、今後、どういう社会を目指していくのか、国民全体で議論を行った上で、責任ある選択をしなければなりません。

ということで、「スウェーデンの経営者」編は、ここまでです。

北欧研修④ ~スウェーデンの「コミューン」(市町村)

それでは、メインの研修地である「スウェーデン」について書いていきます。

ここで、今回の研修テーマを改めて書きたいと思います。
 ①「スウェーデンの地方分権について」
 ②「高負担高福祉国家の実情について」

この調査を行うにあたって、私は「行政」「企業」「住民」という3つの切り口を考えました。
研修計画の作成に取りかかった当初は、訪問国の行政機関だけを念頭に置いていましたが、それだけでは全体像が見えてこないのではないかと思い、経営者と住民の方への調査を追加しました。
(研修を終えてみて、このやり方は成功だったと思っています。)

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)それでは中身に入ります。

最初に訪れた都市は、「ヨーテボリ市」です。
人口は、約47万人の都市です。

まず、ヨーテボリ・コミューン(市役所)に訪問しました。
←対応してくださったのは、市の「広報部長 兼 選挙管理部長」という役職の方です。

スウェーデンは「国民負担率」が、日本やアメリカと比べると非常に高い国家です。
国民負担率とは、租税負担率と社会保障負担率を足した合計です。(国民負担率=租税負担率+社会保障負担率
租税負担とは所得税や消費税などの税金のことで、社会保障負担とは年金の保険料などのことです。

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)②各国の国民負担率は日本やアメリカは30%代後半で、ヨーロッパ先進国の多くが50~60%、そしてスウェーデンは70%を超えています。
つまり、日本では収入の4割弱が税金や保険料の支払いとなりスウェーデンでは、なんと日本よりもはるかに高い7割以上がその支払いになっているということです。

これは、高負担である分だけ高保障ということなのでしょうが、今回の研修で知りたかった事の一つとして、スウェーデンの国民が、これだけの高い税金を受忍できる『感覚』というのがどういうものなのだろうか?というのがありました。

日本で、「社会保障をしっかりするから」と政治家や国が言っても、今の国民の感覚からいって、スウェーデン並みの高い税率にするのは不可能に近いと思います。

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)③
(←ヨーテボリ市庁舎の外観①)

このことについて、私は、日本とスウェーデンとの大きな違いとして、政府や自治体に対する高い信頼があるのだろうと推測しました。

そして、この疑問を、今回対応してくださった市役所の部長にぶつけてみました。

その方は、「まずは歴史が違う」ということで、アメリカとスウェーデンにおける政府と国民との関係の歴史について説明してくださいました。(が、細かいことは割愛します。)

例として話してくださったことの中に、「Personal ID Card」のお話がありました。
日本で数年前に議論になり、マスコミを始め、反対が多かったために立ち消えとなった「国民総背番号制」のことです。

このIDカードを国民は喜んで受け入れたのだと話されました。
それは政府に持ちなさいと言われたからではなく、自分たちにとって良いことだから喜んで持ち歩いているのだということです。

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)④(←ヨーテボリ市庁舎の外観②)

他にも、税金のことで、以下のお話をされました。
「どこの国でも、増税は嫌である。スウェーデンでは、なぜ増税が必要なのか、その増税の結果(見返り)が何であるのかをしっかり住民に語りかけている。住民とのコミュニケーションが大切である。うまく住民に説明をしなければならない。」

スウェーデンにおける高い投票率について話が及んだ際には、発展途上国を例に出して、「例えば、ある国で圧政から解放され、民主主義が持ち込まれて投票できるようになったとしても、その後、10年、20年経っても生活が変わらないとしたら、「民主主義なんて意味がない」と国民は考えるようになるだろう。スウェーデンでは、良い方向を目指して、常に改革を行っている。そして、国民は民主主義の良さを感じるから、高い投票率を維持できている。「政府や自治体が変化をもたらしてくれる」と国民が考えているから投票に行くのだ。」ということを話されました。

恭子さんと。(←メチャクチャお世話になりました通訳さんと。)

最後に、財政について。
コミューン(市町村)は、独自に課税権を持っているので、必要なものは自ら課税できます。
また、国からの財政支援について、いわゆる「ひも付き補助金」は、以前はありましたが、今はもう無く、国からもらう予算は自治体の裁量で自由に使えるとのことでした。
(その額は、政府が自治体ごとに学校・消防・老人ケアなどに必要な基準額を算出。これは日本と同じですね。しかし、国が使い道まで細かく指定してくるのか、自治体の裁量で自由で使えるのかという大きな違いがあります。)

ひとまず、今回はここまで。
だらだらと毎回書いていますが、最後に全体を総括する予定です。