北欧研修② ~知的障害者施設

帰国後、通常業務に追われてしまったり、少しカゼを引いてしまうなどして、海外研修レポートブログを書く時間が取れませんでした。
遅くなりましたが、これから北欧研修の内容について書きたいと思います。

その前に、少しだけ。
ここ1,2ヶ月で、日本の経済情勢は大きく変化しました。
「派遣切り」や「内定取り消し」といった言葉が新聞やテレビから毎日流れ、『雇用不安』という大きな大きな暗い雲が日本中を覆っています。

今回、スウェーデンの調査を行う中で、雇用について意識させられることが何度もありました。
日本に帰ってきてから、日に日に深刻になる経済情勢を目の当たりにし、せめて自分にできることとして、まずは今回の研修内容をしっかりまとめなければと強く思っています。
(と、性格上、余計に自分にプレッシャーをかけて苦しくなってしまいダメなんですが。(苦笑))

それでは、今度こそ本文に入ります。
宮崎空港から、成田空港を経由してコペンハーゲン空港へ。
成田からコペンハーゲンの飛行時間は、約11時間。
ロシア上空から(←ロシア上空)
研修出発直前まで忙しく過ごしてしまい、寝不足の状態で飛行機に乗ったのですが、機内ではほとんど眠れませんでした。
海外は、社会人になって初めて、10年以上振り2回目ということで、緊張と興奮気味だったのでしょう。
訪問先で行う質問事項を改めて練り直すなどして過ごしました。

ちなみに、日本からスウェーデンへの直行便はなく、スウェーデンに行くには、デンマークのコペンハーゲンを経由する必要があります。

この研修のメインは「スウェーデン」ですが、2日間だけはデンマークにて調査を行いました。

そして、現地時間の夕方にコペンハーゲン空港に到着。
ホテルに向かいました。

知的障害者施設③(デンマーク)次の日(デンマーク1日目)に、最初に訪れたのが、「知的障害者作業所」です。
ここは、「デーホーム」(重度障害、職員1人が2.5人を対応)と、「デーセンター」(軽度障害、職員1人が4人を対応)と呼ばれる2つのカテゴリーに分かれていました。

この施設を見させていただいて、日本と大きく違うなと感じたところと、非常に印象に残ったところをいくつか書きます。

知的障害者施設の外観(デンマーク)
(←施設の外観です。非常に美しかったです。)

◎軽度の「デーホーム」では、食事、入浴、衛生、バランス(運動)などの生活指導を行い、重度の「デーセンター」では、動物を飼う(餌をやるなどの世話→動物セラピー)などをしているとのことで、いずれも日本の知的障害者作業所で行われている工場の下請け的な仕事をするといったことはありませんでした。
これは、入所者のQOL(quality of life)を高めることが目的であるから当然のことだというお話しでした。

知的障害者施設④(デンマーク)◎一人一人「個人支援計画」を年に1回作成し、1年後に目標を達成したかチェックを行います。
その計画作成にあたっては、医師やソーシャルワーカーなどの専門家に加えて、家族、そしてなんと本人も一緒に議論を行うとのことでした。
今回の研修の中で強く感じたのは、「デンマークは、個人を尊重する国家だ」ということです。このことにも、それが表れています。

知的障害者施設⑥(デンマーク)
(←写真は、施設内のカフェテリアで働く施設利用者です。
上に「労働のようなこと(工場の下請け作業など)はしない」と書いていますが、希望すれば、このようにして働くこともできます。
あくまで個人を尊重し、その判断は自己決定に委ねます。
また、このように食品を扱う場合は、障害者の方の為に作られた専門学校に行き、食品衛生の資格を取らなければならないそうです。)

知的障害者施設⑨(デンマーク)◎2年前まで、この施設は県の施設で、「2007デンマーク自治体改革」の中で、市の施設になったとのことでした。
それにより変わったこととして、以前は県からの指導のままに仕事をし、現場で働いてる側が自分たちで考えて改善できることが少なかったが、今は現場の自分たちに色んなことが任されるようになったので、それだけ責任もあるが非常にやりがいがある(ex.施設利用者が増えれば予算も増えるなど)というお話しでした。

(この「北欧研修ブログシリーズ」の最後あたりに改めて整理して書こうと思っていますが、これこそが『地方分権』を行うべき理由の大きな一つだと今回の研修で体感しました。)

◎日本でいう「障害者自立支援法」のような障害者用の法律は、デンマークにはないとのこと。
個別法で対応するのではなく、全国民対象の法律があるだけだということでした。これは、障害者を特別視するわけではなく、みんな一緒であるという意思の表れなんだとお話しくださいました。

知的障害者施設①(デンマーク)私の右に座っていらっしゃる方が、この知的障害者作業所の施設長さんです。

「より良くする為に必要なことや、大変なことは何かありますか?」と尋ねると、スタッフはたくさんいるように見えるが、高い専門性を持ったスタッフが必要なので、その養成に時間が必要であると答えてくださいました。
(105人の施設使用者に対して、37人のスタッフがいて、パートやボランティアはいないとのことでした。

また、報告書の作成に時間が取られるとのお話もありました。
(↑全世界共通か。(苦笑))

えー、書ききれませんが、ひとまずこの辺で。
続きは、また明日以降。

2 thoughts on “北欧研修② ~知的障害者施設”

  1. 久しぶりの書込み見ました、相変わらず忙しい様子、何よりです。
    日付が12/13で、18にようやく見れたのはなぜでしょう?
    次回は研修日程全てをまず掲載いただくとありがたいかな。
    それから内容を徐々に書込みいただくと。
    余計な注文でした。
    機内から写真撮影出切るんですね、私は携帯カメラつい「電源ON禁止」を真に受けて撮り忘れますが。
    では次回の書込みを楽しみにしています。
    PS:図師さんのも見ています。

  2. いつも読んでくださり、ありがとうございます。
    機内での電子機器の電源OFFは、離発着の時間だけで、それ以外は使ってよかったように記憶しています。
    機内ではパソコンを使っている人も、結構見かけましたよ。
    これから少しずつ北欧研修の続きを書いていきますので、よろしくお願いいたします。

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