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北欧研修⑤ ~スウェーデンの経営者と

スウェーデン企業③続いて訪れたのは、企業です。
メイクウェーブ株式会社というIT企業の代表取締役社長兼経営最高責任者(President&CEO)とお話させていただきました。

企業では、今回の研修テーマ②について調査を行いました。
 ②「高負担高福祉国家の実情について」

以下に、Q&Aでまとめます。

Q.経営者として税金が高いと感じているか?
A.法人税は、スウェーデンは28%で、日本は40%であり、よっぽど日本の方が高い。そんなに重税感は無い。

Q.スウェーデンは、消費税が25%ということで、個人に対する課税が多いため、国内であまりモノが売れないということはないのか?
A.スウェーデンは、人口が約900万人という小国であるので、そもそも海外に輸出していかないと産業として成り立たない。
確かに多くの企業が海外へ進出しているが、それは国内の税金が高いからということでは全くない。

Q.社会保障がしっかりしているため、労働意欲が低くなるという問題はないのか?
A.自分の会社では、そういうことは起きていない。IT分野に携わっている人間は、そもそも勉強しているし、モチベーションが高い。
しかし、肉体労働者などは失業保険をもらいがちになる場合もあるようだ。
ただ、次の仕事を早く見つけないと損をするような仕組みになっているので、大きな問題とはなっていない。

Q.自国(スウェーデン)の経済政策について、どう考えているか?
A.政府と24時間、オンラインで繋がることができ、会社設立の手続きなどが簡単にできる。また、その他にも資金援助や海外へ出て行くための支援などが充実している。
このように、国として企業を育てるという視点があり、他の国と比べても良い政策であると思う。
スウェーデン企業②経営者として感じる、自国の政策のデメリットは、労働法が非常に厳しいことだ。
経営状況に合わせて、雇用を調整することができない。

また、プロフェッショナルな技術を持つ労働者を雇用するときにかかる税金が非常に高い。

Q.スウェーデンには、「格差社会」があるか?
A.5~10年ほど前から、多少は格差が生まれてはいるが、他国のような状況では全くない。
子育てにかかる経費や教育費、医療費は、全くかからないか、少額で済むので、最低賃金でも家庭を持ち、生活していける。

Q.政府や自治体に対する信頼はあるか?
スウェーデン企業①A.一国民としては信頼している。しかし、経営者としては信頼していない。
つまり、社会保障がしっかりしていることや、労働法が厳しいため労働者の権利がきちんと守られているなど、一国民としては非常に安心できるが、経営者としては、別の政策もあり得ると思う。

今回の経営者とのやり取りの中で注目すべきことは、「労働法が厳しく、経営状況に合わせて雇用を調整することができない」という発言です。
日本が、今後、どういう社会を目指していくのか、国民全体で議論を行った上で、責任ある選択をしなければなりません。

ということで、「スウェーデンの経営者」編は、ここまでです。

北欧研修④ ~スウェーデンの「コミューン」(市町村)

それでは、メインの研修地である「スウェーデン」について書いていきます。

ここで、今回の研修テーマを改めて書きたいと思います。
 ①「スウェーデンの地方分権について」
 ②「高負担高福祉国家の実情について」

この調査を行うにあたって、私は「行政」「企業」「住民」という3つの切り口を考えました。
研修計画の作成に取りかかった当初は、訪問国の行政機関だけを念頭に置いていましたが、それだけでは全体像が見えてこないのではないかと思い、経営者と住民の方への調査を追加しました。
(研修を終えてみて、このやり方は成功だったと思っています。)

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)それでは中身に入ります。

最初に訪れた都市は、「ヨーテボリ市」です。
人口は、約47万人の都市です。

まず、ヨーテボリ・コミューン(市役所)に訪問しました。
←対応してくださったのは、市の「広報部長 兼 選挙管理部長」という役職の方です。

スウェーデンは「国民負担率」が、日本やアメリカと比べると非常に高い国家です。
国民負担率とは、租税負担率と社会保障負担率を足した合計です。(国民負担率=租税負担率+社会保障負担率
租税負担とは所得税や消費税などの税金のことで、社会保障負担とは年金の保険料などのことです。

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)②各国の国民負担率は日本やアメリカは30%代後半で、ヨーロッパ先進国の多くが50~60%、そしてスウェーデンは70%を超えています。
つまり、日本では収入の4割弱が税金や保険料の支払いとなりスウェーデンでは、なんと日本よりもはるかに高い7割以上がその支払いになっているということです。

これは、高負担である分だけ高保障ということなのでしょうが、今回の研修で知りたかった事の一つとして、スウェーデンの国民が、これだけの高い税金を受忍できる『感覚』というのがどういうものなのだろうか?というのがありました。

日本で、「社会保障をしっかりするから」と政治家や国が言っても、今の国民の感覚からいって、スウェーデン並みの高い税率にするのは不可能に近いと思います。

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)③
(←ヨーテボリ市庁舎の外観①)

このことについて、私は、日本とスウェーデンとの大きな違いとして、政府や自治体に対する高い信頼があるのだろうと推測しました。

そして、この疑問を、今回対応してくださった市役所の部長にぶつけてみました。

その方は、「まずは歴史が違う」ということで、アメリカとスウェーデンにおける政府と国民との関係の歴史について説明してくださいました。(が、細かいことは割愛します。)

例として話してくださったことの中に、「Personal ID Card」のお話がありました。
日本で数年前に議論になり、マスコミを始め、反対が多かったために立ち消えとなった「国民総背番号制」のことです。

このIDカードを国民は喜んで受け入れたのだと話されました。
それは政府に持ちなさいと言われたからではなく、自分たちにとって良いことだから喜んで持ち歩いているのだということです。

ヨーテボリ市役所(スウェーデン)④(←ヨーテボリ市庁舎の外観②)

他にも、税金のことで、以下のお話をされました。
「どこの国でも、増税は嫌である。スウェーデンでは、なぜ増税が必要なのか、その増税の結果(見返り)が何であるのかをしっかり住民に語りかけている。住民とのコミュニケーションが大切である。うまく住民に説明をしなければならない。」

スウェーデンにおける高い投票率について話が及んだ際には、発展途上国を例に出して、「例えば、ある国で圧政から解放され、民主主義が持ち込まれて投票できるようになったとしても、その後、10年、20年経っても生活が変わらないとしたら、「民主主義なんて意味がない」と国民は考えるようになるだろう。スウェーデンでは、良い方向を目指して、常に改革を行っている。そして、国民は民主主義の良さを感じるから、高い投票率を維持できている。「政府や自治体が変化をもたらしてくれる」と国民が考えているから投票に行くのだ。」ということを話されました。

恭子さんと。(←メチャクチャお世話になりました通訳さんと。)

最後に、財政について。
コミューン(市町村)は、独自に課税権を持っているので、必要なものは自ら課税できます。
また、国からの財政支援について、いわゆる「ひも付き補助金」は、以前はありましたが、今はもう無く、国からもらう予算は自治体の裁量で自由に使えるとのことでした。
(その額は、政府が自治体ごとに学校・消防・老人ケアなどに必要な基準額を算出。これは日本と同じですね。しかし、国が使い道まで細かく指定してくるのか、自治体の裁量で自由で使えるのかという大きな違いがあります。)

ひとまず、今回はここまで。
だらだらと毎回書いていますが、最後に全体を総括する予定です。

北欧研修③ ~福祉の現場にて

前回のブログを読み直してみて、何を言わんとしているのか分かりづらいですね・・。まだまだであります。
以下を、前回分の内容に付け足します。

今回訪れた知的障害者施設では、施設職員の方が障害者の皆さんとじっくり向き合えるだけの職場環境ができているように感じました。
また、建物内の壁や廊下には、額に入った絵画や写真が飾られているなどしていて、とても明るく優しい気持ちになれる空間が作られていました。
そして、施設を利用されている障害者の皆さんは、非常に明るく穏やかな表情をされていました。

研修出張前、勉強のために北欧の文献をいくつか読む中で、「利己主義ではない真の『個人主義』」という旨の表現を何度か目にし、よくイメージしきれなかったのですが、このとき現地にて、個人の意思が尊重されている環境と障害者の方の表情を見て、おぼろげながらなんとなく分かってきたような気がしました。

次に、訪れたのは「高齢者入居施設(複合集合住宅)」です。
2つの施設に行きました。

高齢者施設③(デンマーク)(←1つ目の施設名は「クララハウス」。この方が、対応してくださった施設長です。元々は福祉とは関係ない分野の技術者だったそうで、福祉の現場で働いた経験は無いとのことでした。ポストごとに採用がなされるので、施設のトップというポストに就くにあたり、経営さえできれば、福祉の現場での経験が必要条件となるわけではないとお話されました。)

高齢者施設⑦(デンマーク)(←2つ目の施設名は、「スラテット」。奥に座っていらっしゃる方が、施設長さんです。元看護師のとのことでした。)

それでは、以下に箇条書きでまとめます。

◎人事について ~『人事権の独立』
まず、職員は全て公務員です。
市の施設ですので、市の職員です。
デンマークには、基本的に民営の福祉施設はありません。
職員採用や、施設内のスタッフ配置など、施設長に人事の権限があります。
(正確には、採用については、施設内の職員で構成される採用委員会で決めるとのこと。)
また、日本であれば、公務員は人事異動があり、本庁勤務であったり、出先機関や施設等に異動することがありますが、デンマークでは異動・転勤はないとのことでした。

他にも、日本と大きく違うこととして、公務員が終身雇用ではありません。
ポストごとに採用がなされるので、例えば市の福祉課長のポストが空くと、そのポストごとに採用募集があることになります。
なので、前述の「クララハウス」の施設長が、全くの畑違いから、その仕事に就くということが有り得るのです。

◎予算について ~『経済的な分権』
この施設の各部屋には、バス・トイレがついており、1つ1つが完全に独立したアパートのような感じでした。
そして、入居者は、家賃や光熱費などの住居にかかる必要経費を払います。
つまり、日本で普通にアパートを借りた場合と同じように、それにかかる費用は入居者本人が払うイメージです。

しかし、入居者は介護にかかる経費を払う必要がありません。
市が年間予算を組んでおり、それで施設運営(介護など)がなされています。
その年間予算の85%が人件費です。
(「総予算の85%が人件費」というのは、前述の知的障害者施設も同じです。)

そして、ここからが重要なのですが、年間予算は所長の権限で全て使うことができます。
うまくやりくりをし、経費を浮かして、新しいことに取り組んでもよく、次年度以降に繰り越すことも可能です。

例えば、洗濯をこれまで業者に委託して行っていたものを、職員がするようにして浮かせたお金を貯めておいて、入居者の満足度を高めるために音楽室を作るといったことをしてもいいのです。

市の関与としては、赤字かどうかだけとのことでした。
(ちなみに2%までは、赤字を出しても良いとのこと。)

この『人事』と『予算』について、これだけの分権がなされていることは非常に進んでいると感じました。

高齢者施設④(デンマーク)高齢者施設⑥(デンマーク)

高齢者施設⑤(デンマーク)
(施設内の壁には、多くの絵画が飾られていました。おしゃれな空間だなというのが感想です。)

◎今回訪れた施設は、認知症の入居者が多いとのことでした。
その介護の方針について、以下のお話しが施設長からありました。
「認知症の方は、不安を感じてしまうと、きょろきょろ動き回ってしまう。そう感じない環境を作らないといけない。職員がドタバタ仕事をするような状況だと、認知症の方も落ち着けない。音楽や匂いなどにも気を配り、入居者はもちろんスタッフも落ち着ける空間づくりが大切だ。」
他に、「人権の尊重とは、デンマークでは一人一人の価値観の尊重なんだ」という言葉もありました。

高齢者施設⑧(デンマーク)前述の「利己主義ではない真の『個人主義』」という言葉について、実際に現地に行き、デンマークのいろんな方とお話しさせていただく中で感じたのは、「自分を大切にすること。その価値が分かっているから他人を大切にできる。」ということです。
デンマークでは、それに立脚して社会保障が組み立てられていると感じました。

高齢者施設⑨(デンマーク)また、デンマークの福祉省事務次官補のところにも訪問させていただきました。
政府高官であります。
(←福祉省の正門。)
それでは以下に箇条書きでまとめます。

◎2006年の総選挙にて、社会民主労働党から、右派の穏健党中心の連立政権となり、機構改革がなされ、「社会省」から「福祉省」となったとのこと。
この機構改革により、管轄は福祉だけでなく、内務・自治(地方)・住宅(建築)も含み、大きな省になったということで、「福祉」と「地方」を重要な位置付けにしている国なのだと改めて思いました。

◎デンマークでは、2007年に大規模な自治体改革を行っています。
13の「県」を再編して5つの「地方」とし、270の「コミューン(市町村)」は98となりました。
この目的は、小規模な自治体であると解決できないことが多かったので、組織的にも財政的にもしっかりとした体制にするためであったとの説明がありました。

高齢者施設⑩(デンマーク)日本と少し違うのは、「財政危機が迫ってきたから」というのがきっかけの大きな1つになっていないということです。
「よりよい住民福祉を実現するために万全な体制にする(つまり、自治体合併をする)」ということが、デンマークでの改革の出発点になっており、言葉にすれば少しの違いですが、これは非常に大きな違いです。

ただ、日本と単純比較できないのは、国土が狭いため、「市町村合併により周辺地域が寂れる」という問題は起きていません。

しかし、対処療法的に改革を行うのではなく、長期的な視点から、より良い形を目指して改革を行っているデンマークの姿勢に学ぶべきことは多くあると思います。

まとまってませんが、時間の都合により今日はここまでとさせていただきます。

さあ、次回から「スウェーデン」です!!

北欧研修② ~知的障害者施設

帰国後、通常業務に追われてしまったり、少しカゼを引いてしまうなどして、海外研修レポートブログを書く時間が取れませんでした。
遅くなりましたが、これから北欧研修の内容について書きたいと思います。

その前に、少しだけ。
ここ1,2ヶ月で、日本の経済情勢は大きく変化しました。
「派遣切り」や「内定取り消し」といった言葉が新聞やテレビから毎日流れ、『雇用不安』という大きな大きな暗い雲が日本中を覆っています。

今回、スウェーデンの調査を行う中で、雇用について意識させられることが何度もありました。
日本に帰ってきてから、日に日に深刻になる経済情勢を目の当たりにし、せめて自分にできることとして、まずは今回の研修内容をしっかりまとめなければと強く思っています。
(と、性格上、余計に自分にプレッシャーをかけて苦しくなってしまいダメなんですが。(苦笑))

それでは、今度こそ本文に入ります。
宮崎空港から、成田空港を経由してコペンハーゲン空港へ。
成田からコペンハーゲンの飛行時間は、約11時間。
ロシア上空から(←ロシア上空)
研修出発直前まで忙しく過ごしてしまい、寝不足の状態で飛行機に乗ったのですが、機内ではほとんど眠れませんでした。
海外は、社会人になって初めて、10年以上振り2回目ということで、緊張と興奮気味だったのでしょう。
訪問先で行う質問事項を改めて練り直すなどして過ごしました。

ちなみに、日本からスウェーデンへの直行便はなく、スウェーデンに行くには、デンマークのコペンハーゲンを経由する必要があります。

この研修のメインは「スウェーデン」ですが、2日間だけはデンマークにて調査を行いました。

そして、現地時間の夕方にコペンハーゲン空港に到着。
ホテルに向かいました。

知的障害者施設③(デンマーク)次の日(デンマーク1日目)に、最初に訪れたのが、「知的障害者作業所」です。
ここは、「デーホーム」(重度障害、職員1人が2.5人を対応)と、「デーセンター」(軽度障害、職員1人が4人を対応)と呼ばれる2つのカテゴリーに分かれていました。

この施設を見させていただいて、日本と大きく違うなと感じたところと、非常に印象に残ったところをいくつか書きます。

知的障害者施設の外観(デンマーク)
(←施設の外観です。非常に美しかったです。)

◎軽度の「デーホーム」では、食事、入浴、衛生、バランス(運動)などの生活指導を行い、重度の「デーセンター」では、動物を飼う(餌をやるなどの世話→動物セラピー)などをしているとのことで、いずれも日本の知的障害者作業所で行われている工場の下請け的な仕事をするといったことはありませんでした。
これは、入所者のQOL(quality of life)を高めることが目的であるから当然のことだというお話しでした。

知的障害者施設④(デンマーク)◎一人一人「個人支援計画」を年に1回作成し、1年後に目標を達成したかチェックを行います。
その計画作成にあたっては、医師やソーシャルワーカーなどの専門家に加えて、家族、そしてなんと本人も一緒に議論を行うとのことでした。
今回の研修の中で強く感じたのは、「デンマークは、個人を尊重する国家だ」ということです。このことにも、それが表れています。

知的障害者施設⑥(デンマーク)
(←写真は、施設内のカフェテリアで働く施設利用者です。
上に「労働のようなこと(工場の下請け作業など)はしない」と書いていますが、希望すれば、このようにして働くこともできます。
あくまで個人を尊重し、その判断は自己決定に委ねます。
また、このように食品を扱う場合は、障害者の方の為に作られた専門学校に行き、食品衛生の資格を取らなければならないそうです。)

知的障害者施設⑨(デンマーク)◎2年前まで、この施設は県の施設で、「2007デンマーク自治体改革」の中で、市の施設になったとのことでした。
それにより変わったこととして、以前は県からの指導のままに仕事をし、現場で働いてる側が自分たちで考えて改善できることが少なかったが、今は現場の自分たちに色んなことが任されるようになったので、それだけ責任もあるが非常にやりがいがある(ex.施設利用者が増えれば予算も増えるなど)というお話しでした。

(この「北欧研修ブログシリーズ」の最後あたりに改めて整理して書こうと思っていますが、これこそが『地方分権』を行うべき理由の大きな一つだと今回の研修で体感しました。)

◎日本でいう「障害者自立支援法」のような障害者用の法律は、デンマークにはないとのこと。
個別法で対応するのではなく、全国民対象の法律があるだけだということでした。これは、障害者を特別視するわけではなく、みんな一緒であるという意思の表れなんだとお話しくださいました。

知的障害者施設①(デンマーク)私の右に座っていらっしゃる方が、この知的障害者作業所の施設長さんです。

「より良くする為に必要なことや、大変なことは何かありますか?」と尋ねると、スタッフはたくさんいるように見えるが、高い専門性を持ったスタッフが必要なので、その養成に時間が必要であると答えてくださいました。
(105人の施設使用者に対して、37人のスタッフがいて、パートやボランティアはいないとのことでした。

また、報告書の作成に時間が取られるとのお話もありました。
(↑全世界共通か。(苦笑))

えー、書ききれませんが、ひとまずこの辺で。
続きは、また明日以降。

北欧研修① ~出発までの思い

それでは、北欧での研修について書きたいと思います。
これは、県庁の「海外派遣自治行政研修」なる制度により、派遣していただくものです。

職員が一人で、自分が勉強したいテーマ、勉強したい国にて、調査・研修をしてくるというものです。
(ネット上ということで、誤解を生まないよう一応書きますが、職員みんなが行けるものではなく、毎年ほんの数名だけが派遣されます。財政状況が厳しい中、今回のように勉強するチャンスを頂けたということで、非常に大きなプレッシャーを感じながらの研修でもありました。)

私が今回、北欧について勉強したいと思ったのは、ある新聞記事がきっかけでした。
宮崎日日新聞(H20.5.19、6.23など)に掲載された地方財政審議会委員である木村陽子さんの『客論』という記事です。
「『政治は日常』のスウェーデン」という表題で、スウェーデンの地方自治制度について、解説が書かれていました。
記事を読み、こんなにも進んだ地方自治がなされているのかと心躍りました。
 
また、最近、NHKの視聴者参加型の討論番組等で、「高負担高福祉のスウェーデン型社会」と「低負担低福祉のアメリカ型社会」のどちらが良いか、といったものを目にする機会が何度かあったというのも大きかったです。

日本は、今、社会保障費が年々増大し、消費税引き上げについても論議される中、国民の中に『先の見えない漠然とした不安』が広がっていると思います。
所得格差が広がり、頑張っていても正社員になれないなどの「ワーキングプア」」の問題も顕在化してきた昨今、社会保障がしっかりしているとされる『スウェーデン』という国がクローズアップされるのもうなずけます。

そのようなことから、私には、これからの国のあり方や地方のあり方を議論する上で、どうしても一度、スウェーデンという国に行き、高負担高保障国家の実情をしっかりこの目で見たいという強い思いがあって、今回の研修へと繋がりました。

私が今回の研修で学ぼうと決めたテーマは大きく二つ。 
 ①「スウェーデンの地方分権について」
 ②「高負担高福祉国家の実情について」

それでは、これから何回かに分けて、スウェーデンという国で勉強してきたこと、感じたことを書いていきます。